シロクチアオハブ Trimeresurus albolabris

和名:シロクチアオハブ
学名:Trimeresurus albolabris
分布:中国南部など
環境:新陳、樹上性
活動時間帯:夜行性
食性:鳥類、哺乳類、両生類
全長:0.6-0.8m
毒性:血液凝固障害など

 

白い口から名付けられたアオハブ。英語圏ではホワイトリップという名前で呼ばれることもある。
albus=白い lābrum=くちびる に由来する。
一見すると一様に黄色い口に見えるが、正面から観察すると、吻端板の下部、頣板上部や、その周囲が白く、白いくちびるという名にも納得である。

他の樹上性のハブと同様に、獲物を落とさないよう一度咬みつくと中々離さないとされており、
樹上に潜んでいることからも十分に注意が必要な種である。

 

シロクチアオハブとの出会い

 

初めて趣味仲間とケンカした。私たちは香港で遭難しかかっていたのである。

 

香港はあくまでトランジットのため訪れていた。
アジア最大級の生物市場である金魚街にふらっと寄ったが、あまりの生物の面白さに興奮し、
欲をかき森に入ったのが誤りだったかもしれない。

 

日は暮れ、夜景が見えるのに、どの道から来たかわからず何時間も帰ることが出来ない。
ほんの少し立ち寄るつもりだったので水も食料も持っていなかった。
お互い香港には始めてくるので、どっちのせいで道を間違えたと言っても始まらないのだが、
焦り始めると言い方に角が立つものである。

一瞬電波が入った隙にGoogleMAPを起動するも、どう見ても薮を漕がなくてはならないシチュエーションであった。
そろそろ朝になってしまう。見晴らしはいいが脱水症状になるのはごめんだ。

不貞腐れながらまた1時間ほど歩いていると、シロクチアオハブが現れた!

 

 

のどの渇きや空腹感、さっきまでのケンカや不安感全てが無に還る出会いと興奮。
生き物屋というのは恐ろしいもので、
あれだけ疲弊していたのに、「他にもいねーかなー」という調子で山の反対側の道路まで出てタクシーで宿まで帰り着いたのであった。

 

 

記事執筆・撮影者
外村康一郎 Tonomura Koichiro

1994年12月28日 兵庫県加古郡出身
日本爬虫両棲類学会、日本土壌動物学会所属。

幼少期よりヘビなどの爬虫類を愛好。2015年ボルネオ旅行を皮切りに、世界中で爬虫類の撮影を行う。
2017年観賞魚、爬虫類用品メーカーのジェックス株式会社へ入社、2018年より同社爬虫類部門EXO TERRAの商品開発担当、2021年退職。

2021年7月18日放送のNHK「サイエンスZERO“やんばる”世界遺産へ 奇跡の森になったワケ」ではホンハブの撮影に協力。
NHK取材陣と共に、かつて米軍の管理下にあった返還地の森で案内を行う。
「日本ヘビ類大全」「所さんの目がテン!公式ブック 生物多様性がわかる かがくの里」ヘビ写真提供ほか、
「ワニ大図鑑: 分類・進化・生態・法律・飼育について解説」へのイリエワニ写真提供など、爬虫類写真家としても活躍中。

 

 

上部へスクロール