いつもありがとうございます。ライターの外村です。
今回、雑誌「蛇と人」発足にあたり、思いを語っておくべく筆を執りました。
私は多くの皆様と同じように幼少期の頃からヘビやカエルなどの生物が好きでした。
しかし図鑑や書籍の中の情報と現実がリンクすることなく気が付けば大人になっていました。
本の中の世界はあくまで本の中のこと。一流のプロカメラマンや一握りの研究者だけが特別な発見をしていると考えていたのです。
しかし、大学生になり、ふと思い立った先でヘビを探してみると、幼少期の頃に見てきた本の中の世界と現実とが急に繋がりだしました。
遠い記憶の中で色あせていた思い出が目の前にある、こうした感動は私の人生を少しずつ変えていきました。
実際に会ってみることの面白さを知ると、ますます本を読み、さらなる出会いを求めるようになりました。
そして同時に、この感動を分かち合いたいと考えるようになりました。
しばらくして、こうした生活が習慣となったある日、私はヘビを愛好する方々とともに香港に撮影に赴きました。
待ち合わせで何となく入った香港駅前の喫茶店で朝食をとり、初日だったので何となく記念撮影をして店をあとにしました。
その後シロクチアオハブやアマガサヘビの撮影を終えて各々解散という運びになりました。
私は数日だけ他の方より長く滞在していたのですが、安全面、体力面からフィールドに行くのは避けて、観光をしていました。
すると香港ではヘビを模した建築物が多いという情報を目にしました。
情報をもとに香港駅の目の前、国際金融中心の高速道路出口を目指しました。
すると出口は確かに巨大なコブラの姿をしていたのです。
あまりにも巨大なコブラの出現に興奮しつつも、ある疑念が私の頭をよぎりました。
私は恐らくこの建築を見たことがある……。
そう、私は初日の朝に、この目の前で朝食をとっていたのです。
香港駅はこの地の中核で、何年も前から通っていましたし、
今回の旅でも毎日のように横を通っていたのに気が付きませんでした。
そう気が付かなかったのです。
悔しくもありましたが、同時に面白くもありました。
ほんの少しの知識や情報で、世界はこんなにも見え方が変わり、そして面白いものになるのだと私は感じました。
知識が増えて、見え方が変わるともっと人生は豊かになると私は確信しています。
そういった体験をもっと多くの方に届けるべく、雑誌「蛇と人」創刊にいたりました。
生物そのものはもちろん、作品や建築など多角的な視点で新しい雑誌が誕生します。