和名：ブラーミニメクラヘビ
学名：Indotyphlops braminus
分布：南米を除く世界中の熱帯、亜熱帯地域
環境：地中
活動時間帯：夜行性
食性：アリの幼虫や卵、シロアリなど小昆虫
全長：10-18cm
毒性：無毒
ヘビ類で唯一の絶対的単為生殖種であり、雑種が起源であると考えられているヘビ。
目が小さく、鱗に覆われていることからメクラヘビと呼ばれる。
属名はIndo=インドの+typhlops＝盲目 とタイプ産地であるインドのメクラヘビに由来する。
種小名はbraminus=ブラフミンに由来する。
ブラフミンとはインドのカースト制度の頂点に位置するバラモン教やヒンドゥー教の司祭階級の総称である。
バラモンという呼称でも知られる。
20cm未満と小型のヘビではあるが、ミニ（小さい）メクラヘビではないことに注意したい。
土中に生息し、黒く細い容姿から一見するとミミズのようにも見えるが、冒頭の写真にあるように舌で匂いを嗅ぐこともあれば、
よくみると鱗で覆われていることもわかる。
夜行性でアリの卵や幼虫、シロアリなど主に土中の小昆虫を捕食する。
尾の先端は尖り、これを用いて土中に潜るほか、掴むと刺すことがあり
ヒャンやハイと似たような行動をすることがある。
分布は南米を除く全世界の熱帯、亜熱帯に渡っており、
日本では琉球列島のほぼ全ての島、大東諸島、小笠原諸島など島嶼部、さらには九州、四国、本州の一部でも報告がある。
単為生殖であることから、メス１匹でも繁殖が可能であり、植物などの商取引を通じて世界中に分布域を広げたものと考えられる。
脱皮殻は青白く、脱皮前は灰青となる。
ブラーミニメクラヘビとの出会い
社会人生活２年目を終えようとしていた私はちょっとした休暇で台湾を訪れた。
約３ヵ月前に一眼デビュー（OM-D E-M1 Mark II）したこともあり足取りが軽い。
何を撮っても楽しいカメラデビューである。
通常なら見飽きるほどいるスウィンホーキノボリトカゲも全て撮影しながら夜道を歩く。
樹上を見るだけではもったいないと、倒木を起こすとブラーミニメクラヘビがあっさりと現れた！
世界的に移入種となっており、またあまりにもありふれた種であるため、今なら時間を割いて写真を撮らないかも知れない。
しかし、歪なフィールド遍歴を持つ私は、国内でヘビなど探したこともなく、当時ヒバカリすら見たことがない初心者である。
そのためブラーミニメクラヘビをとても奇妙で珍しいヘビだと思い込み、またカメラデビューしたこともあり喜んで撮った。
どうしても目にピントが合わせられず、カメラ内深度合成使ってみるも上手くいかない。
動き回る被写体に深度合成は不向きなのは当然だが、当時はよくわかっていなかったため、ブレブレの多重露光写真を量産していた……。
ともあれ、このピュアピュアな経験値の低さがブラーミニを撮影するキッカケとなった。
そして和蛇の金字塔的な書籍「日本ヘビ類大全」への掲載へと至ったのである。
日本ヘビ類大全の関係者はどなたも一角の人物であり、ブラーミニなど五万と発見し、撮影をしているはずであったが、
前述のように移入種であることやあまりにも普通種であることが災いして何と誰も撮影していなかったのである。
ということで、当時カメラ歴３カ月（カメラに触るのは10回目くらい）のぽやぽやピンボケ写真が見開き１ページでデカデカと採用されてしまったわけである（爆）次に出会ったらバチバチに最高なブラーミニの写真を撮ってやろうと意気込む私なのであった。
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記事執筆・撮影者
外村康一郎 Tonomura Koichiro
1994年12月28日 兵庫県加古郡出身
日本爬虫両棲類学会、日本土壌動物学会所属。
幼少期よりヘビなどの爬虫類を愛好。2015年ボルネオ旅行を皮切りに、世界中で爬虫類の撮影を行う。
2017年観賞魚、爬虫類用品メーカーのジェックス株式会社へ入社、2018年より同社爬虫類部門EXO TERRAの商品開発担当、2021年退職。
2021年7月18日放送のNHK「サイエンスZERO“やんばる”世界遺産へ 奇跡の森になったワケ」ではホンハブの撮影に協力。
NHK取材陣と共に、かつて米軍の管理下にあった返還地の森で案内を行う。
「日本ヘビ類大全」「所さんの目がテン！公式ブック 生物多様性がわかる かがくの里」ヘビ写真提供ほか、
「ワニ大図鑑: 分類・進化・生態・法律・飼育について解説」へのイリエワニ写真提供など、爬虫類写真家としても活躍中。
